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唇が腫れた!まず行くべき科は?
ある日突然、唇がぷっくりと腫れてしまったら、誰でも驚き、不安になるものです。「何かの病気だろうか?」「どの病院の何科に行けば良いのだろう?」と迷ってしまう方も少なくないでしょう。唇の腫れの原因は様々ですが、まず最初に受診を検討すべき診療科は、皮膚科です。皮膚科は、皮膚だけでなく、唇や口腔粘膜、爪、髪といった体表面のトラブル全般を専門とする診療科です。唇の腫れの原因として最も多いものの一つに、アレルギー反応による接触皮膚炎(かぶれ)や血管性浮腫(クインケ浮腫)があります。これらは、特定の食べ物や化粧品、薬剤、あるいは原因不明のアレルゲンによって引き起こされ、唇の腫れや赤み、かゆみ、ヒリヒリ感などを伴います。皮膚科医は、問診や視診、場合によってはアレルギー検査(パッチテストなど)を通じて原因を特定し、抗ヒスタミン薬の内服やステロイド外用薬の処方など、適切な治療を行ってくれます。また、ヘルペスウイルスによる口唇ヘルペスも、唇の腫れや水ぶくれ、痛みを引き起こす代表的な疾患です。これも皮膚科の専門領域であり、抗ウイルス薬の内服や外用薬による治療を受けることができます。ただし、唇の腫れが、歯や歯茎のトラブル、あるいは口腔内の炎症に起因していると考えられる場合は、歯科や口腔外科の受診も検討すべきです。例えば、歯根の先に膿が溜まる歯根嚢胞(しこんのうほう)や、歯周病が進行した場合、あるいは親知らずの炎症などが原因で、唇やその周囲が腫れることがあります。これらの場合は、原因となっている歯の治療や、口腔内の消炎処置が必要となります。歯科医や口腔外科医は、レントゲン検査などで口腔内の状態を詳しく調べ、適切な診断と治療を行ってくれます。さらに、唇の腫れが外傷(ぶつけたり、噛んだりした場合)によるものであれば、状況によっては形成外科が適切な場合もあります。傷が深かったり、出血がひどかったり、あるいは美容的な観点から傷跡が心配な場合は、形成外科医に相談すると良いでしょう。何科を受診すべきか迷った場合は、まずはかかりつけ医に相談するか、症状の状況(他に症状があるか、きっかけは何かなど)を考慮して、皮膚科か歯科のいずれかを受診し、必要に応じて他の診療科を紹介してもらうという流れが良いかもしれません。自己判断せずに、早めに専門医の診察を受けることが、的確な診断と適切な治療への近道となります。