-
ノロウイルス嘔吐物の安全な処理
ノロウイルス感染者の嘔吐物には大量のウイルスが含まれ、感染拡大の原因となるため、処理時は飛散防止と二次感染予防の適切な手順が重要です。まず、処理を始める前に、必ず準備を整えましょう。処理にあたる人は、使い捨てのマスク、手袋(できれば二重)、エプロンまたはガウンを着用し、目からの感染を防ぐためにゴーグルやメガネもあれば装着します。窓を開けるなどして、十分に換気を行いながら作業することが大切です。次に、嘔吐物をペーパータオルや新聞紙、使い捨ての布などで、外側から内側に向けて静かに覆いかぶせるようにして拭き取ります。この際、ウイルスが舞い上がらないように、ゴシゴシとこすったり、乾燥させたりしないように注意してください。拭き取った嘔吐物と使用したペーパータオルなどは、すぐにビニール袋に入れ、口をしっかりと縛って密閉します。このビニール袋は、できれば二重にするとより安全です。続いて、嘔吐物があった場所とその周辺を消毒します。ノロウイルスにはアルコール消毒の効果は限定的ですので、次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤を希釈したもの)を使用します。床などの場合は0.1%(塩素濃度1000ppm:例えば、500mlのペットボトルに水と家庭用塩素系漂白剤をキャップ2杯程度入れると作れます)、汚染範囲が広い場合や衣類などの場合は0.02%(塩素濃度200ppm:同じくペットボトルに水と漂白剤をキャップ半分弱程度)に希釈したものを用います。この消毒液をペーパータオルなどに十分に浸し、嘔吐物があった場所を覆うようにして、しばらく(10分程度)置いてから拭き取ります。その後、水拭きをして薬剤を取り除きます。使用したペーパータオルや手袋、マスク、エプロンなども、全てビニール袋に入れて密閉し、廃棄します。処理が終わったら、必ず石鹸と流水で丁寧に手を洗いましょう。指先、爪の間、指の間、手首まで、30秒以上かけて念入りに洗います。嘔吐物が衣類やリネン類に付着した場合は、まず付着した嘔吐物をできるだけ取り除き、その後、洗剤を入れた水の中で静かにもみ洗いします。下洗い後、0.02%の次亜塩素酸ナトリウムに30分~1時間程度浸すか、85℃以上の熱湯で1分間以上煮沸消毒してから、他の洗濯物とは分けて洗濯しましょう。