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小児科から内科へのスムーズな移行法
子供が成長し、小児科の対象年齢を過ぎる頃になると、いずれは内科や専門の成人診療科へ移行する必要があります。この「小児科から成人診療科への移行」、いわゆる「トランジション」をスムーズに行うためには、いくつかのポイントがあります。まず、できるだけ早い段階から移行について意識し、準備を始めることが大切です。中学生くらいになったら、かかりつけの小児科医に、「いつ頃、どのような形で内科へ移行することになるのか」を相談してみましょう。医師から、移行の目安となる年齢や、紹介先の候補、移行までに準備しておくことなどのアドバイスをもらえるはずです。次に、子供自身が自分の病気や健康状態について理解を深めることが重要です。これまでは親が主体となって医師とのやり取りや服薬管理を行っていたかもしれませんが、徐々に子供自身が自分の言葉で症状を説明したり、薬の管理をしたりできるように促していく必要があります。医師との面談に子供も同席し、積極的に質問する機会を作るのも良いでしょう。自分の体と向き合い、主体的に医療に関わる意識を育むことが、成人期における自己管理能力の向上に繋がります。そして、小児科医と移行先の医師との間で、十分な情報共有が行われることが不可欠です。これまでの病歴、治療経過、検査結果、アレルギー情報、予防接種歴、現在の状態、注意すべき点などをまとめた「診療情報提供書(紹介状)」を作成してもらい、それを移行先の医師に渡します。場合によっては、小児科医と移行先の医師が直接連絡を取り合って、スムーズな引き継ぎが行われることもあります。また、移行先の医療機関や医師について、事前に情報を収集しておくのも良いでしょう。病院の規模や専門性、医師の専門分野や人柄、通院のしやすさなどを考慮し、自分に合った医療機関を選びます。可能であれば、一度見学に行ったり、移行前に試しに受診してみたりするのも良いかもしれません。新しい医療チームとの信頼関係を築くためには、ある程度の時間が必要です。焦らず、不安なことや疑問点は遠慮なく質問し、コミュニケーションを大切にしましょう。特に、慢性疾患を抱えている場合は、小児期からのきめ細やかなケアが途切れることなく、成人期においても質の高い医療を受け続けられるように、計画的かつ段階的に移行を進めていくことが求められます。