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外反母趾の手術を考えるなら何科?
外反母趾の治療は、多くの場合、保存療法(靴の指導、装具療法、運動療法、薬物療法など)から開始されますが、これらの治療を行っても痛みが改善しない、変形が進行して日常生活に大きな支障が出ている、あるいは合う靴がなくて困っているといった場合には、手術療法が検討されます。外反母趾の手術は、整形外科、特に足の外科を専門とする医師や、足の専門外来を設置している医療機関で行われるのが一般的です。これらの専門医は、外反母趾の手術に関する豊富な知識と経験を持っており、様々な術式の中から、患者さんの変形の程度や年齢、活動レベル、全身状態などを総合的に考慮して、最も適切な手術方法を選択してくれます。外反母趾の手術には、非常に多くの術式が存在します。代表的なものとしては、親指の付け根の骨(中足骨)を切って角度を矯正し、金属製のプレートやスクリュー、ワイヤーなどで固定する「骨切り術(こつきりじゅつ)」があります。骨切り術にも、切る場所や角度、固定方法などによって様々なバリエーションがあります(例:DLMO法、Mann法、Chevron法、Scarf法など)。また、変形が軽度な場合には、骨を切らずに靭帯や関節包といった軟部組織を調整する手術が行われることもありますし、逆に関節の破壊が進んでいる重度の場合は、関節を固定する「関節固定術」や、人工関節に置き換える「人工関節置換術」が選択されることも稀にあります。どの術式を選択するかは、手術の成功率や合併症のリスク、術後の回復期間、そして患者さんの希望などを考慮して、医師と患者さんが十分に話し合って決定することが非常に重要です。手術を検討する際には、まず担当医から、手術の必要性、具体的な手術方法、期待できる効果、起こり得る合併症(感染、神経損傷、血栓症、再発、固定具のトラブルなど)、術後のリハビリテーションの進め方、入院期間、費用などについて、詳しく説明を受けるようにしましょう。そして、疑問点や不安なことがあれば、遠慮なく質問し、納得がいくまで話し合うことが大切です。場合によっては、セカンドオピニオンを求めて、他の専門医の意見を聞いてみるのも良いでしょう。手術は、外反母趾の根本的な治療法の一つではありますが、必ずしも全ての人に適しているわけではありません。