毎年秋になると話題にのぼるインフルエンザの予防接種。多くの人が「受けたほうがいいのかな」と考えますが、その本当の効果を正しく理解している人は意外と少ないかもしれません。インフルエンザワクチンに期待される最も重要な効果は、大きく分けて二つあります。一つは「発症を予防する効果」、そしてもう一つは、たとえ発症してしまった場合でも「重症化を予防する効果」です。まず、発症予防効果についてですが、これはワクチンを接種することでインフルエンザウイルスに感染し、症状が出るのをある程度防ぐことができるというものです。ただし、この効果は百パーセントではありません。その年の流行株とワクチンの株がうまく一致しているか、また個人の免疫力によっても効果は変動します。そのため、「ワクチンを打ったから絶対にインフルエンザにかからない」というわけではないのです。この点が、ワクチンへの過信や、逆に不信感につながることもあるでしょう。しかし、ここで極めて重要になるのが、二つ目の「重症化を予防する効果」です。こちらの方が、予防接種を受ける最大の意義と言っても過言ではありません。もしワクチンを接種した後にインフルエンザにかかってしまったとしても、高熱が続く期間が短くなったり、症状が軽く済んだりする可能性が非常に高くなります。特に、高齢者や基礎疾患を持つ方、そして小さなお子さんにとって、インフルエンザは肺炎や脳症といった命に関わる重篤な合併症を引き起こすことがあります。予防接種は、こうした最悪の事態に陥るリスクを大幅に低減させてくれる、いわば命を守るための保険のような役割を果たすのです。単に「かかるか、かからないか」という二元論でワクチンの価値を判断するのではなく、万が一の時に自分や家族の体を守るための強力な備えであるという視点を持つことが、予防接種の効果を正しく理解する上で非常に大切です。
インフルエンザ予防接種の本当の効果は発症と重症化を防ぐ力