唇の腫れの原因として非常に多いのが、アレルギー反応によるものです。特定の物質に対して体が過敏に反応し、唇に炎症や腫れを引き起こします。アレルギー反応による唇の腫れは、いくつかのタイプに分けられますが、代表的なものに「接触皮膚炎(かぶれ)」と「血管性浮腫(クインケ浮腫)」があります。接触皮膚炎は、アレルゲンとなる物質が唇やその周りの皮膚に直接触れることで起こる炎症です。原因物質に触れてから数時間~数日後に、唇に赤み、腫れ、かゆみ、小さな水ぶくれ、ただれ、乾燥、亀裂などが現れます。原因となりやすい物質としては、口紅やリップクリーム、リップグロス、歯磨き粉、洗顔料、日焼け止めなどの化粧品や日用品に含まれる香料、色素、保存料、金属成分(ニッケル、コバルトなど)が挙げられます。また、マンゴーやキウイフルーツ、柑橘類、ナッツ類といった特定の食べ物が唇に触れることでアレルギー反応を起こす「口腔アレルギー症候群(OAS)」の一症状として、唇の腫れやかゆみが生じることもあります。歯科治療で使用される金属や樹脂、ゴム製品なども原因となることがあります。血管性浮腫(クインケ浮腫)は、皮膚の深い部分や粘膜下組織で、ヒスタミンなどの化学伝達物質の作用により血管の透過性が亢進し、血液中の液体成分が漏れ出すことで局所的にむくみが生じる状態です。唇やまぶた、顔面などが突然、境界不明瞭に腫れ上がり、かゆみは伴わないか、あっても軽度であることが多いですが、ピリピリとした感覚や熱感、圧迫感を伴うことがあります。原因としては、特定の食物(そば、甲殻類、卵、乳製品など)や薬剤(抗生物質、解熱鎮痛薬など)、虫刺され、物理的刺激(寒冷、温熱、圧迫など)、あるいは遺伝性のもの、原因不明の特発性のものなどがあります。これらのアレルギー反応による唇の腫れの場合、治療の基本は原因となるアレルゲンを特定し、それを避けることです。皮膚科では、問診や視診、必要に応じてパッチテストや血液検査などを行い、原因物質の特定を試みます。治療としては、抗ヒスタミン薬の内服や、ステロイド外用薬の塗布が行われます。症状が強い場合や、呼吸困難などの全身症状を伴うアナフィラキシーの兆候が見られる場合は、緊急の対応が必要となるため、速やかに医療機関を受診する必要があります。
アレルギー反応による唇の腫れ