発達障害(自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害など)は、生まれつきの脳機能の偏りによって、コミュニケーションや対人関係、行動、学習などに困難が生じる状態です。多くの場合、乳幼児期からその特性が見られ始め、小児科や児童精神科、発達外来などで診断や支援を受けることになります。では、発達障害の診療において、小児科は何歳くらいまで関わってくれるのでしょうか。これも、他の疾患と同様に、明確な年齢制限が法律で定められているわけではありません。一般的には、**「18歳(高校卒業)まで」**を一つの目安として、小児科領域での診療や支援が行われることが多いようです。これは、学校制度における区切りや、児童福祉法の対象年齢(原則18歳未満)などが関係しています。小児科医、特に小児神経科医や発達行動小児科医は、子供の成長発達に関する専門家であり、発達障害の診断、薬物療法(必要な場合)、療育や環境調整に関するアドバイス、保護者への支援など、多岐にわたる役割を担います。就学前から学童期、思春期にかけて、それぞれの発達段階に応じたきめ細やかなサポートを提供します。しかし、18歳を過ぎると、多くの場合、成人向けの精神科や心療内科、あるいは発達障害専門の成人向け支援機関へ移行することになります。この移行(トランジション)は、発達障害を持つ人にとって、環境の変化や新しい医療・福祉サービスへの適応など、大きな課題を伴うことがあります。そのため、小児科や児童精神科の医師は、できるだけ早い段階から移行を見据え、患者さん自身が自分の特性を理解し、社会生活を送る上で必要なスキルを身につけられるように支援していくことが重要です。また、成人期の支援機関との連携を密にし、スムーズな引き継ぎが行われるように配慮することも求められます。ただし、医療機関の方針や、患者さんの状態、かかりつけ医との関係性によっては、18歳を過ぎても、しばらくの間は引き続き同じ小児科医がフォローアップを行うケースもあります。特に、長年関わってきた医師との信頼関係は、患者さんにとって大きな心の支えとなるため、急な移行を避け、本人のペースに合わせて徐々に進めていくことが望ましい場合もあります。
発達障害の診療小児科は何歳まで?