水疱瘡は多くの子どもが経験するありふれた病気ですが、時に重い合併症を引き起こすこともあります。しかし幸いなことにこの病気には「ワクチン」という非常に有効な予防手段が存在します。そしてワクチンを接種していたか否かは、もし水疱瘡にかかってしまった場合の症状の重さにも大きく影響します。水疱瘡ワクチンは毒性を弱めた「水痘・帯状疱疹ウイルス」を生きたまま接種する「生ワクチン」です。現在日本では1歳から3歳未満の子どもを対象に2回の定期接種が行われています。このワクチンを接種することで体はウイルスに対する免疫を獲得し、水疱瘡の発症を予防したりたとえ発症しても症状を非常に軽く済ませたりすることができます。1回の接種で約80パーセントの人が発症を予防でき、2回の接種でその効果は95パーセント以上に高まると言われています。もしワクチンを接種した後に水疱瘡にかかってしまった場合、その症状は未接種の子どもと比べて格段に軽くなるのが特徴です。発熱も軽度かあるいは全くなく、発疹の数も数十個程度で済むことがほとんどです。水疱にならずに赤い発疹だけで終わってしまうこともあり、水疱瘡だと気づかれないまま治ってしまうことさえあります。また合併症を起こすリスクも大幅に低下します。一方でワクチンを未接種の状態で自然に水疱瘡に感染した場合、一度かかると体には非常に強力な免疫が獲得され通常は二度と水疱瘡にかかることはありません。ただしこの時に感染したウイルスは体から完全に消え去るわけではありません。ウイルスは体の神経節という場所に静かに何十年も潜伏し続けます。そして将来加齢やストレスなどで体の免疫力が低下した時に、この潜伏していたウイルスが再び目を覚まし神経に沿って帯状の痛みを伴う発疹を引き起こすことがあります。これが「帯状疱疹」です。つまり子どもの頃の水疱瘡が数十年後の帯状疱疹の遠い原因となっているのです。
水疱瘡の予防接種と、かかった後のこと