大人の足の悩みというイメージが強い外反母趾ですが、実は子供にも起こり得ることをご存知でしょうか。子供の外反母趾は、「若年性外反母趾」や「小児外反母趾」などと呼ばれ、成長期に発症・進行することがあります。もし、お子さんの足の親指が曲がっている、付け根が出っ張っている、あるいは痛みを訴えるなどの症状が見られたら、どの診療科に相談すれば良いのでしょうか。子供の外反母趾の場合も、基本的には大人と同様に、整形外科、特に小児整形外科を専門とする医師や、足の専門外来を受診するのが適切です。小児整形外科医は、子供の骨や関節の成長・発達に関する専門知識を持っており、成長期の子供特有の足の問題に対して、適切な診断と治療を行うことができます。子供の外反母趾の原因は、大人と同様に、遺伝的な要因(関節の柔らかさなど)や、足に合わない靴の着用、生活習慣などが考えられます。特に、成長期の子供の足は柔らかく変形しやすいため、サイズの合わない靴や、先の細い靴、硬い靴などを履き続けると、外反母趾を発症・悪化させるリスクが高まります。また、女の子に比較的多く見られる傾向があります。整形外科では、まず問診で症状や生活習慣などを詳しく聞き、視診や触診で足の状態を確認します。そして、レントゲン検査を行い、骨の変形の程度や角度を評価し、診断を確定します。子供の外反母趾の治療は、多くの場合、保存療法が中心となります。手術療法が選択されることは、大人の場合に比べて少なく、症状が非常に重い場合や、保存療法で全く改善が見られない場合などに限られます。保存療法の主な内容は、まず「靴の指導」です。子供の足の成長に合わせた、つま先に十分なゆとりがあり、かかとが安定し、足の甲がしっかりと固定できる靴を選ぶことが非常に重要です。定期的に足のサイズを計測し、常に適切なサイズの靴を履かせるようにしましょう。次に、「運動療法やストレッチ」です。足の指を鍛える体操(グー・パー体操、タオルギャザーなど)や、足のアーチを形成するのに役立つ裸足での活動を促すこと、アキレス腱のストレッチなどが指導されます。また、必要に応じて、インソール(足底挿板)や夜間装具などが処方されることもあります。早期に発見し、適切な対策を講じることで、変形の進行を抑え、症状を改善させることが期待できます。