インフルエンザの予防接種を受けるかどうかを考えるとき、私たちはつい「自分がかからないため」「自分が重症化しないため」という個人の視点だけで判断しがちです。もちろん、それは接種の最も重要な目的の一つですが、実は予防接種にはもう一つ、非常に大切な社会的意義があります。それが「集団免疫」という考え方です。集団免疫とは、社会の多くの人が予防接種などによって特定の感染症に対する免疫を持つことで、感染症そのものの流行を抑え込み、結果として免疫を持たない人をも守るという効果のことです。ワクチンを接種した人が増えれば増えるほど、ウイルスが人から人へと感染していく連鎖が断ち切られやすくなります。そうなると、社会全体でのウイルスの循環量が減り、大規模な流行(パンデミック)を防ぐ力になるのです。この集団免疫によって守られるのは誰でしょうか。それは、様々な理由でワクチンを接種できない人たちです。例えば、生後六ヶ月未満の赤ちゃん、ワクチンに含まれる成分に重いアレルギーがある人、重い病気の治療中で免疫力が極端に低下している人など、感染すると重症化するリスクが非常に高いにもかかわらず、ワクチンという防御手段を持てない人々がいます。私たちが予防接種を受けることは、こうした最も弱い立場にある人々を、間接的に感染の脅威から守るための壁になることを意味します。また、インフルエンザの流行が拡大すると、学校や職場での活動が停滞するだけでなく、医療機関に患者が殺到し、医療体制が逼迫する原因にもなります。多くの人が接種することで流行の規模を小さくできれば、本当に重症化した患者に必要な医療を届けるための、医療資源を守ることにも繋がります。インフルエンザの予防接種は、単なる個人のための選択ではありません。それは、自分の家族、友人、そして社会全体を守るための、思いやりと責任ある行動でもあるのです。
自分と社会を守るインフルエンザ予防接種の集団免疫効果