ノロウイルスは非常に感染力が強く、少量のウイルスでも感染・発症する可能性があるため、日頃からの感染予防が非常に重要です。ノロウイルスの感染を予防するための基本的な対策をしっかりと理解し、実践しましょう。まず、最も基本的かつ効果的な予防策は、「手洗い」の徹底です。トイレの後、調理や食事の前、外出から帰宅した際などには、必ず石鹸と流水で丁寧に手を洗いましょう。石鹸自体にはノロウイルスを直接失活させる効果はあまり期待できませんが、手の脂肪などの汚れを落とすことで、ウイルスを物理的に剥がれやすくする効果があります。指先、爪の間、指の間、手首まで、30秒以上かけて念入りに洗い、清潔なタオルやペーパータオルで完全に乾かします。アルコール消毒は、ノロウイルスに対しては効果が限定的ですが、石鹸と流水による手洗いがすぐにできない場合の補助的な手段として、あるいは手洗い後に追加で行うことで、ある程度の効果は期待できます。次に、「食品の十分な加熱」です。特に、カキなどの二枚貝はノロウイルスを保有している可能性があるため、生食を避け、中心部までしっかりと加熱(85~90℃で90秒以上)することが重要です。また、感染者が調理を行うと、食品を介して感染が広がる可能性があるため、体調が悪い時は調理を控えるようにしましょう。調理器具や食器も、使用後はよく洗浄し、熱湯や次亜塩素酸ナトリウムで消毒するとより安全です。そして、「環境の清掃と消毒」も欠かせません。ドアノブや手すり、トイレのレバー、おもちゃなど、多くの人が触れる場所は、こまめに清掃し、必要に応じて次亜塩素酸ナトリウム(家庭用塩素系漂白剤を希釈したもの)で消毒しましょう。特に、家庭内や施設内で感染者が出た場合は、感染拡大を防ぐために、汚染された可能性のある場所を徹底的に消毒することが重要です。嘔吐物や便の処理をする際には、使い捨てのマスク、手袋、エプロンを着用し、ウイルスを吸い込んだり、直接触れたりしないように細心の注意を払います。処理後は、石鹸と流水で十分に手を洗いましょう。これらの基本的な予防策を日常生活の中で習慣づけることが、ノロウイルス感染から自身や家族を守るための最も確実な方法です。