子どもの体に一つまた一つと増えていく赤い発疹。初めて水疱瘡を経験する保護者にとってその見た目は非常に心配になるものです。しかし水疱瘡の発疹は非常に特徴的な経過を辿って治癒に向かっていきます。そのプロセスを事前に知っておくことで慌てず落ち着いて子どもの状態を見守ることができます。水疱瘡の発疹の始まりは多くの場合、虫刺されのような小さな「赤いポツポツ」です。これはお腹や背中、顔といった体幹部から現れ始めることが多いです。この赤い発疹は出現してからわずか数時間のうちに、その中心部がぷくっと膨らみみずみずしい「水ぶくれ」へと変化します。この水疱は最初は澄んだ液体を含んでいますが、次第に濁ってきてまるで膿が溜まっているかのように見えます。そしてこの水疱の段階が最もかゆみが強い時期と言われています。水疱瘡の最大の特徴はこれらの「紅斑」「水疱」「膿疱」といった様々な段階の発疹が、新しいものと古いものとが入り混じって全身に同時に存在することです。次から次へと新しい発疹が波状攻撃のように現れるため、数日間は発疹の数が増え続けます。この発疹は体だけでなく頭皮の中や口の中、そして陰部といった粘膜の部分にもできることがあります。頭皮の発疹は髪の毛に隠れて見つけにくいですが、強いかゆみの原因となるため注意が必要です。口の中の発疹は破れて口内炎のようになり、痛みを伴うため食欲不振の原因となります。そして発疹が出始めてから3~4日経つと、ようやく新しい発疹の出現は治まり古い水疱から徐々に「かさぶた」へと変化していきます。このかさぶたの段階になるとかゆみも次第に和らいでいきます。全ての水疱がこのかさぶたになれば感染力はなくなり治癒とみなされます。このかさぶたは無理に剥がさなければ、1週間から10日ほどで自然にポロリと剥がれ落ちていきます。この一連のダイナミックな変化のプロセスこそが、水疱瘡という病気の特徴なのです。
水疱瘡の発疹、その経過と特徴