小児慢性特定疾病とは、小児期に発症し、長期にわたる治療や管理が必要となる特定の病気の総称です。例えば、小児がん、先天性心疾患、気管支喘息(重症)、ネフローゼ症候群、若年性特発性関節炎、内分泌疾患(1型糖尿病など)、神経・筋疾患、発達障害などがこれに含まれます。これらの病気を抱える子供たちは、専門的な知識と経験を持つ小児科医による継続的なケアが不可欠です。では、小児慢性特定疾病を持つ患者さんは、何歳まで小児科で診療を受けることができるのでしょうか。この点についても、一律の年齢制限があるわけではありませんが、一般的に**「18歳未満」**(一部の疾患では20歳未満まで延長可能)が、小児慢性特定疾病医療費助成制度の対象年齢となっています。この制度は、対象となる病気の子供たちが適切な医療を受けられるように、医療費の自己負担分を公費で助成するものです。そのため、この助成制度の対象年齢が一つの目安となり、多くの場合は18歳(あるいは20歳)までは、引き続き小児科で専門的な診療を受けることが可能です。しかし、18歳(あるいは20歳)を過ぎると、この医療費助成制度の対象からは外れることになります。そうなると、成人向けの医療制度へと移行し、診療科も小児科から内科や、それぞれの疾患に応じた専門の成人診療科(循環器内科、呼吸器内科、腎臓内科、リウマチ科、内分泌・代謝内科、神経内科、精神科など)へ移ることが一般的です。この小児科から成人診療科への移行プロセスは、「トランジション(移行期医療)」と呼ばれ、近年非常に重要視されています。トランジションの目的は、患者さんが成人期においても途切れることなく、質の高い医療を受け続けられるようにすること、そして、患者さん自身が自分の病気について理解を深め、主体的に治療や自己管理に取り組めるように支援することです。スムーズなトランジションのためには、小児科医と成人診療科の医師が密接に連携を取り、患者さんの情報(病歴、治療経過、検査結果、現在の状態、注意すべき点など)を正確に共有することが不可欠です。また、患者さんやその家族も、移行に向けての準備を早期から始め、新しい医療チームとの信頼関係を築いていくことが大切になります。
小児慢性特定疾病は何歳まで小児科?