学校や保育園という集団生活の場では、ひとたびインフルエンザが発生すると爆発的に感染が広がるリスクがあります。日々子供たちの健康管理を行っている立場から言えるのは、感染を完全に防ぐことは難しくても、その確率を大幅に下げる方法は確実に存在するということです。まず最も基本的でありながら効果が高いのが、正しい手洗いの徹底です。子供たちは外遊びの後や給食の前、トイレの後など、多くの場面で手を洗いますが、指の間や爪の先、手首までしっかりと石鹸で30秒以上洗えている子は驚くほど少ないのが現状です。学校ではハンカチを持ってくるように指導していますが、濡れたハンカチを使い続けるのも衛生的に良くありません。清潔な乾いたタオルを使用させるよう、各家庭でも協力をお願いしたいポイントです。次に、流行期には「顔を触らない」という習慣を教えることが有効です。インフルエンザウイルスは、汚染された手で目や鼻、口の粘膜を触ることで体内に侵入します。机やドアノブに付着したウイルスを直接吸い込む空気感染よりも、接触感染の方が頻度が高いと言われています。また、教室内の換気は休み時間ごとに行っていますが、家庭でも1時間に1回は窓を開けて空気の入れ替えを行うことをお勧めします。乾燥はウイルスの活動を活発にするため、湿度の維持も重要です。加湿器がない場合は、濡れたタオルを室内に干すだけでも効果があります。また、子供の免疫力を下げないための規則正しい生活は欠かせません。睡眠不足や栄養の偏りは、ウイルスの侵入を容易にします。特に冬場は朝食をしっかり摂らせ、体温を上げてから登校させることが大切です。さらに、予防接種についても検討してください。ワクチンを打ったからといって100%かからないわけではありませんが、もし感染したとしても高熱が続く期間が短くなったり、脳症などの重篤な合併症を防いだりする効果が期待できます。学校で誰かがインフルエンザになったという情報を聞いた際、焦ってパニックになるのではなく、これらの基本に立ち返ることが最大の防御となります。そして、もしお子さんに少しでも熱があったり、いつもより元気がなかったりする場合は、無理をさせて登校させず、勇気を持って休ませてください。それがお子さん自身の早期回復に繋がると同時に、クラスメイトへの感染拡大を食い止める最も慈愛に満ちた行動になります。