交通事故の被害者が適正な損害賠償を受けるためには、病院選びと受診の仕方に細心の注意を払う必要があります。まず、最も避けるべきは、病院での受診をせずに整骨院のみに通院することです。損害賠償請求の根拠となる後遺障害診断書を作成できるのは医師のみであり、整骨院の先生にはその権限がありません。そのため、まずは整形外科などの医療機関を受診し、主治医の管理下で治療を進めることが大前提となります。病院を選ぶ際は、交通事故による怪我の臨床経験が豊富で、かつ検査設備が整っている施設を選びましょう。特にMRI設備がある病院は、レントゲンでは映らない軟部組織の損傷を確認できるため、むち打ち症などの神経症状を立証する上で強力な武器となります。また、医師との相性も無視できません。被害者の訴える痛みを丁寧に聞き取り、カルテに細かく記録してくれる医師でなければ、将来的に後遺障害が残った際、保険会社に対して正当な主張を行うことが難しくなるからです。通院の頻度も重要な要素の1つです。仕事が忙しいからと通院の間隔が1ヶ月以上空いてしまうと、保険会社から治療の必要がないと判断され、一方的に治療費の打ち切りを宣告されるリスクが高まります。痛みがある間は、医師の指示に従って週に2回から3回は通院し、一貫した症状の訴えを続けることが大切です。また、症状によっては複数の科を併診することもあります。例えば、整形外科で首の治療を受けながら、目のかすみがある場合は眼科を、耳鳴りがする場合は耳鼻咽喉科を受診し、それぞれの科で診断書をもらっておくべきです。これにより、事故による全身への影響を網羅的に証明できます。診断書の記載内容についても、痛む部位が全て網羅されているか、必ず自分の目で確認しましょう。事故直後に痛くなかった場所でも、数日後に痛みが出た場合は、追加で診断書を書き直してもらう必要があります。後からの追加は因果関係を疑われやすいため、早めの申し出が肝心です。正しい病院選びと、医師との正確なコミュニケーションこそが、健康の回復と正当な権利行使を支える両輪となります。
交通事故の損害賠償で不利にならないための病院選び